【刑事弁護】連続逮捕事案において「検察官の勾留請求却下」と再逮捕後の「勾留取消決定」を獲得し、全て不起訴処分とした事案

事案の概要
容疑:刑法犯(第一事件)および 特別法違反(第二事件)
担当弁護士:代表弁護士 柏田 笙磨
当初、被害者に対する言動等を巡るトラブル(第一事件)で逮捕され、弁護活動により勾留請求が却下され、逮捕からわずか2日で釈放となりました。
しかしその後、別の法定刑の重い重罪容疑(特別法違反/第二事件)が浮上し、再逮捕・勾留された事案です。
一見して窮地に立たされた連続逮捕事案でしたが、それぞれの局面で最適な弁護活動を展開し、約2週間半という短期間で、最終的に全ての事件で不起訴処分を獲得しました。
弁護活動と成果
本件は、「第一事件でのスピード決着」と「第二事件での戦略的転換」という、性質の異なる二つの弁護活動が奏功しました。
【第一事件】迅速な初動による「勾留阻止」
最初の逮捕後、検察官は裁判所に対して勾留(原則10日間の身柄拘束)を請求予定でした。
これに対し、当事務所は直ちに以下の活動を行いました。
①徹底した環境調整と証拠収集
逮捕直後にご本人およびご家族と面談を実施。
ご家族とご本人それぞれの協力を得て、釈放後の監督体制や更生環境を整備し、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを裏付ける証拠を収集。
更に、検察官の証拠構造を推測し、本件で罪証隠滅の現実的危険性がないこと、勾留の必要性を欠くことを説得的に主張。
これらをまとめた意見書と証拠資料一式を検察官・裁判官へ速やかに提出しました。
②検察官・裁判官との直接交渉
意見書の提出に留まらず、担当検察官および裁判官それぞれに電話面談を申し入れました。
本件においては、法律上の勾留要件である「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」「勾留の必要性」が具体的に認められない点を強く主張し、勾留の不当性を訴えました。
担当検察官と交渉したところ、「弁護人の意見を踏まえても勾留請求を維持する。」との回答があり、最終的には裁判所の司法判断を仰ぐことになりました。
<結果:勾留請求却下・検察官の準抗告棄却 ⇒ 逮捕後2日で釈放>
裁判所は当事務所の主張を認め、検察官の勾留請求を却下する決定を下しました。さらに、この決定に不服を持った検察官が申し立てた「準抗告」も棄却させることに成功しました。
司法統計上、勾留請求却下率は「約3.8%」と非常に狭き門です。
迅速な活動により、この約3.8%の壁を超えることができ、ご本人は逮捕からわずか2日で身柄を解放されました。
【第二事件】再逮捕後の「戦略的防御」と「方針転換」
第一事件での釈放後、より法定刑の重い特別法違反の容疑で再逮捕されました。
しかし、ご本人は当時のアルコールの影響で記憶が曖昧であり、否認事件として、極めて慎重な対応が求められました。
そこで、ここでは「重罰の回避(不起訴)」を最優先目標とし、二段階の戦略を採りました。
第一段階:徹底した防御(完全黙秘)
記憶が不確かな状態で、警察官の誘導により不利な供述調書が作成されることを防ぐため、再逮捕直後は「完全黙秘」を指示。
捜査機関には上記弁護方針の開示と、仮に調書が作成された場合には自白の任意性を争う等の毅然とした「申入書」を提出して牽制しつつ、連日の接見でご本人の精神面を支えました。
第二段階:戦略的転換と示談成立
捜査の進展を見極め、被害者様との示談交渉が可能になった段階で、弁護方針を大きく転換しました。
①検察官限定の取調べ対応
警察に対しては黙秘を維持しつつ、検察官に対してのみ黙秘を解除。
検察官の面前で真摯に反省と更生への意欲を供述し、調書化に応じました。
②示談の成立
この方針転換により検察官との信頼関係を構築しつつ、被害者感情の緩和に誠心誠意の対応で注力。最終的に「宥恕(許し)文言」を含む示談を成立させました。
③再犯防止措置と環境調整
また、二度と同じ過ちが繰り返されないよう、関係者の協力を得て、弁護人としてできる限りの知恵を絞り、本件トラブルの原因の分析と、その対策としての具体的な再犯防止策の実践と環境調整を徹底し、検察官にその進捗状況を逐一報告しました。
<結果:勾留取消・不起訴処分>
示談成立後、直ちに裁判所へ勾留取消を請求したところ、検察官も同意の意見を述べ、勾留取消決定がなされ、即時の身柄解放を実現しました。
司法統計上わずか「0.4%」(1%未満)の認容率である終局前の勾留取消決定を得たことになります。
その後、最終的に検察官は、再犯防止環境の構築や示談成立、本人の真摯な反省、当事務所の弁護活動を総合的に評価し、全件について不起訴処分を決定。
立て続く逮捕や重大事件にもかかわらず、前科が付くことなく、一連の事件は約2週間半ですべて終結しました。
更に、逮捕報道を行ったマスメディアにも、当事務所から報道要請を行うことで不起訴結果を報道していただき、ご本人の名誉回復に努めました。
本件の意義
本件は、一度釈放された後に重罪で再逮捕されるという、被疑者や家族にとって精神的にも法的にも非常に過酷な事案でした。
しかし、局面ごとにメリハリのある弁護活動を行うことで、最良の結果を導くことができました。
第一事件の勝因「スピード」
わずか数%しかない「勾留請求却下」さらに「準抗告棄却」を勝ち取ったのは、逮捕直後からの迅速な証拠収集と、裁判官・検察官への直接的な説得が功を奏した結果です。
これにより、最大20日間続く可能性があった初期の身柄拘束を回避しました。
第二事件の勝因「柔軟な戦略」
重罪容疑の再逮捕後は、一転して「完全黙秘」で徹底した防御を固め、示談の目処が立った瞬間に「協力姿勢」へ転じる、硬軟織り交ぜた戦略を実行しました。
「不当な身柄拘束は一刻も早く解く」「重罪事案では緻密な戦略で前科を回避する」「被害者様には誠心誠意対応する」「終局処分の判断権者である検察官とも基本的な信頼関係を構築する努力を重ねる」。
これらの信念に基づき、最後まで粘り強く戦い抜いたことが、今回の解決事例における最大のポイントです。
担当弁護士からのメッセージ
「ご家族が逮捕された」「重い罪に問われている」――絶望的な状況でも、諦めずに当事務所へご相談ください。
本件のように、逮捕直後の「初動のスピード」と、捜査状況を見極めた「緻密な戦略性」があれば、勾留の阻止や不起訴処分の獲得など、未来を変える結果を導ける可能性があります。
弁護士法人みなみ総合法律事務所は、形式的な弁護ではなく、依頼者様一人ひとりの人生を守るために、検察官や裁判所に対しても一歩も引かずに主張を尽くします。
刑事事件は時間との勝負です。少しでも早い段階でのご相談が、解決への近道となります。
刑事事件分野につき、初回相談は無料ですので、ぜひお問い合わせください。
※ご依頼に関する重要なお知らせ
大変恐縮ではございますが、現在、当事務所へのご相談・ご依頼が大変立て込んでおります。「クライアントファーストで責任を持って事件に対処する」との経営方針から、弁護士の繁忙状況によっては、新規の刑事事件のご依頼をお請けできない可能性がございます。
まずはお電話にてお問い合わせのうえ、ご相談にお越しいただき、弁護士面談にて今後の方針を協議させていただいた上で、ご依頼の可否・弁護士費用についてお話しできればと存じます。



宮崎県宮崎市老松1-2-2
宮崎県都城市上町13-18
宮崎県延岡市中町2丁目1-7