【開催報告】都城市にて社労士向けセミナーを開催しました

【開催報告】都城市にて社労士向けセミナーを開催
~現場のリアルな悩みに答える「円満退職を叶える退職勧奨の実務と対策」~

令和7年10月16日(木)、秋の気配が深まる中、宮崎県都城市にて、地域の社会保険労務士の先生方を対象とした法律セミナーを開催いたしました。

今回のテーマは、多くの企業様が頭を悩ませる「円満退職を叶える退職勧奨の実務と対策」です。講師は当事務所の弁護士濵田諭が務め、都城市およびその周辺地域でご活躍されている7名の社労士の先生方にご参加いただきました。少人数制ならではの密度の濃い議論が交わされ、非常に熱気あふれる有意義な時間となりましたので、ここに当日の様子と内容をご報告いたします。



1 一方的な講義ではなく「知恵を出し合う」参加型形式へ

今回のセミナーでは、単に講師が知識を解説するだけの「講義形式」ではなく、参加者の皆様が主役となる「参加型・ワークショップ形式」を採用いたしました。

具体的には、ご参加いただいた7名の先生方を4名と3名の2グループに分け、セミナーの進行に合わせて設定された設例や課題について、まずはグループ内でディスカッションを行っていただきました。その後、各グループでまとまった意見を発表・共有し、講師が法的な観点からフィードバックを行うという流れです。

なぜ、あえてこの形式をとったのか。退職勧奨というテーマは、個別の事案ごとに最適解が異なり、教科書的な知識だけでは対応しきれない「生きた現場の判断」が求められる分野です。先生方お一人お一人で設例を考え込むよりも、現場経験豊富な社労士の先生同士が議論を交わすことで、「なるほど、そういう切り口があったか」「そのリスクは見落としていた」といった、一人では到達し得なかった「新しい視点」や「気づき」を得ていただけるのではないかと考えたからです。

また、セミナーという場において、どうしても受講者は「受け身」になりがちです。しかし、今回は少人数開催というメリットを活かし、誰一人として孤立することなく、全員が当事者意識を持って課題に向き合っていただきたいという想いもございました。結果として、グループワーク中には笑いや真剣な議論の声が絶えず、非常に活気のある「学びの場」が醸成されました。


2 徹底した事前準備と実践的なセミナー内容

(1)ニーズを網羅した「オーダーメイド」のカリキュラム
本セミナーの開催にあたり、私たちは事前の準備に最も注力いたしました。一般的な汎用セミナーではなく、都城エリアの先生方が「今、本当に知りたいこと」に応えるため、参加予定の先生方へ事前のヒアリングを実施。「退職勧奨の現場でどのような点に困っているか」「どのような法的判断に迷うか」といった生の声を徹底的に収集しました。

そこで挙がったご要望や疑問点は、今回のセミナー内容にほぼ全て網羅し反映させています。さらに、講義を聞いて終わりにするのではなく、実務に戻った際にすぐに活用できるよう、理解度をセルフチェックできる弊所オリジナルの「チェックシート」を作成し、配布・活用する試みも導入いたしました。

(2)セミナーの3つの柱
本セミナーでは、以下の3点を到達目標(ゴール)として設定しました。

  • 退職勧奨の進め方の具体的イメージを持っていただくこと
  • 「違法」と評価されないための正しい進め方・法的基準を知っていただくこと
  • 紛争を残さず合意退職で終わらせるための「出口戦略」を理解していただくこと

退職勧奨は、一歩間違えれば「退職強要」とみなされ、損害賠償請求や不当解雇としての地位確認訴訟など、企業経営に重大なリスクをもたらす可能性があります。これらを回避し、会社と社員双方が納得して別々の道を歩むための「円満な着地点」を見出すことが本旨です。

(3)白熱した実践内容
具体的な講義内容は以下の3部構成で進行しました。

① 円満に退職してもらうためのポイント・進め方
まずは基礎編として、退職勧奨の開始から合意に至るまでの全体フローを解説しました。どのタイミングで、誰が、どのような場所で話を切り出すべきかといった、実務的な段取りについて整理しました。

② 退職勧奨が違法と評価されないための工夫
ここが今回のメインパートです。違法な退職勧奨が企業にもたらす法的・社会的リスク、実際に違法と判断された裁判例の紹介を行いました。その上で、面談の「頻度」「1回あたりの時間」「発言内容」について、どこまでが許容され、どこからがアウトなのか、その境界線を解説しました。

特に盛り上がりを見せたのが、「社員からの反論への対処法」です。 ここでは、講師の濵田弁護士が「退職を拒否する社員役」となり、各グループの代表者(社労士の先生)が会社側として説得を試みるロールプレイング(模擬面談)を実施しました。 弁護士が演じる社員は、実際の紛争現場さながらに鋭い反論や感情的な抵抗を見せます。「なんで私が辞めなきゃいけないんですか?」「それはパワハラですよね?」こうしたリアルな切り返しに対し、先生方がどう言葉を返し、どう事態を収拾するか。その場で即座に行われるフィードバックは、座学だけでは得られない貴重な体験として、参加者の皆様から大変ご好評をいただきました。「冷や汗をかいたが、自信がついた」という感想も聞かれました。

③ 退職合意書等の作成ポイント・記載すべき内容
最後に、合意に至った後の「文書化」についてです。 当事務所で作成した退職合意書のモデル書式を配布し、各条項(清算条項、口外禁止条項、誹謗中傷の禁止など)が持つ法的な意味や、トラブルを蒸し返されないための書き方の工夫について、一条項ずつ丁寧に解説を行いました。


3 講師・濵田諭弁護士からのコメント
都城市での社労士の先生方向けセミナーは、私にとっても初めての開催となりました。開催前は「少人数で議論が盛り上がるだろうか」という一抹の不安もありましたが、蓋を開けてみれば、それは杞憂に終わりました。

参加された先生方の学習意欲は極めて高く、グループワークでは予定時間をオーバーするほど熱心な議論が交わされました。セミナー終了後の質疑応答では、教科書的な質問ではなく、先生方が実際に抱えている顧問先の困難事例についてのご相談も多くいただき、このテーマがいかに現場で切実なものであるかを改めて痛感いたしました。

また、セミナー後の懇親会も大変な盛り上がりを見せました。地域の社労士の先生方と膝を突き合わせてお話しすることで、都城エリアの労務課題の特性や、先生方の熱い想いに触れることができ、私自身にとっても非常に刺激的な一日となりました。

今回の成功を通じ、来年以降も都城市において、社労士の先生方向けのセミナーを定期的に開催していくことができるという確信を得ることができました。地域の企業の発展を支える社労士の先生方と、我々弁護士が連携を深めることは、必ずや地域の法的サービスの質的向上につながると信じております。

最後に、受講後のアンケートでは、参加された全ての先生方から「大変良かった」との最高評価をいただきました。準備を重ねてきた甲斐があったと安堵すると同時に、次回はさらにより良いコンテンツを提供できるよう、身の引き締まる思いです。

ご参加いただいた先生方、本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。 今後とも、地域の皆様に貢献できる情報発信と法的サポートに尽力してまいります。

今後のセミナー開催について
当事務所では、今後も社労士の先生方や企業経営者様に役立つ実践的なセミナーを企画してまいります。開催情報は本ホームページにて随時更新いたしますので、ぜひチェックしてください。

監修者

弁護士法人みなみ総合法律事務所濵田諭
法人顧問、企業相談、労使紛争など使用者側の弁護士業を専門とする。
弁護士歴17年以上で解決実績多数。宮崎県内で濵田個人の顧問先企業80社以上。
主に宮崎市エリアを担当。

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