🌺【弁護士の声】なぜ私は「都会」ではなく「宮崎」を選んだのか?〜地域に根ざす、弁護士という生き方〜

弁護士 柏田 笙磨 (72期)

 

代表弁護士柏田笙磨の写真

司法修習生の皆さん、こんにちは。代表弁護士の柏田笙磨です。将来の進路を考え、期待と不安が入り混じる重要な時期をお過ごしのことと思います。実はかつての私も「都市部で最先端の仕事に挑戦したい」という想いと、「地元宮崎で地域に貢献したい」という想いの間で、進路を決めかねていました。

このページが、皆さんのキャリアを考える上での一つのヒントになれば幸いです。

原点となった宮崎での経験

私は法科大学院修了直後の司法試験に不合格となりました。

突きつけられた現実を受け止めきれないふわふわとした不安を抱えながら、次の一年間を故郷である宮崎県日向市で過ごすことになります。それでも前を向くしかなく、来る日も来る日も、地元の市立図書館やファミレス(ジョイフル)で勉強に明け暮れました。

勉強の気晴らしには択一の問題集や暗記ノートとペンを持って、伊勢ケ浜へ足を運びました。

澄み渡る青空、太陽の光を弾く眩しい海面、波の音が響く広大で穏やかな海。

ゴツゴツした岩肌に腰掛け、その美しい景色を眺めながらも、私の心にあったのは「20代中盤にして社会から取り残されてしまった」という焦りと強い不安でした。「他の受験生はロースクールや予備校の自習室で、豊富な書籍や切磋琢磨する仲間、疑問を解消してくれる講師のもと、死に物狂いで勉強している。それに比べて自分は、一人このような環境で本当に合格できるのだろうか。もし不合格が続けば、奨学金の返済はどうしようか」。雄大な海を前にしながらも、迫りくる将来への不安と不甲斐なさに押しつぶされそうな日々を過ごしていました。

そんな中、偶然いただいたご縁で、地元の夏祭りの実行委員会に事務局としてフルタイム勤務させていただく機会がありました。そこで出会った人情味あふれる地元事業者の方々や、地域のために汗を流す行政職員の方々と交流し、苦労とともに組織として祭りを無事に成功させる過程や感動は、私に宮崎の温かさを改めて教えてくれました。

また、生活費と受験費用を稼ぐため、これまた偶然のご縁に恵まれ、みなみ総合法律事務所でアルバイト事務員として働かせていただくことになりました。そこでは、先輩弁護士の依頼者に真摯に向き合う姿勢や人柄の良さ、そして多種多様な案件が絶え間なく舞い込む事務所の圧倒的な活気を肌で感じることができました。

これらの地元でのリアルな経験を通じ、「人当たりが良く、気候も温暖で、食べ物も美味しい。そして、弁護士という仕事にも大きなやりがいがある。宮崎は、なんて素晴らしい場所なんだろう」と、その魅力を再発見したのです。

恩師の言葉 ―「大樹」のように根を張るということ

翌年の司法試験合格後も、「まずは都会で研鑽を積み、それから判断して将来地元に戻ればいい」と、自分のキャリアプランを理屈で正当化しようとしていました。しかし、地元で肌で感じた直感はどうしてもそれに反発します。当時の私には、その違和感の正体がまだ言語化できずにいました。

あれこれ悩んでもどうしても自分だけでは答えを出せず、先人の智慧をお借りしようと思い、合格報告の際に母校の熊本大学法科大学院を訪れ、当時実務家教員として教鞭を執られていた弁護士の馬場啓先生(熊本・桜樹法律事務所)の研究室の扉を叩きました。

「先生、私は都会で働く魅力と、地元で働く魅力、その両方を感じて悩んでいます。まずは数年、都市部で研鑽を積んでから、将来地元に戻るという道が良いのでしょうか」

率直な悩みを打ち明けた私に、馬場先生は「自分も若い頃、全く同じことで悩んだよ」と笑顔で語りかけ、力強い助言をくださいました。

「弁護士とは、年輪を重ねて成長していく大樹のようなものだ。地域に深く根を張り、長い時間をかけて人格と実力を磨き、人々の信頼を掴む。そうして年輪を少しずつ太くしていくことで、初めて『自分の顧客』がついてきてくれる。君も、そういう立派な大樹になるべきだ」

この言葉は、馬場先生ご自身が恩師から受け継いだものであり、その言葉を胸に、地元の熊本で弁護士を続ける決意をされたそうです。先生は今、多数の顧問先から厚い信頼を寄せられ、熊本県弁護士会会長(平成27年度)や、日本弁護士連合会副会長(令和7年度)の重責を担われるなど、まさに地域に深く根差した立派な大樹となられています。

入所の決め手 ― なぜ、みなみ総合法律事務所だったのか

馬場先生の言葉は、私の考える弁護士業の核心を突くものでした。「なるほど、そういうことか」と、点と点が繋がるような深い納得感が押し寄せました。

「まずは都会で、将来は地元で」という私の理屈は、いわば途中で木を植え替えるようなものです。都会での経験は間違いなく素晴らしいですが、将来地元に戻るなら、その数年間は地域で信頼を築くスタートを先送りすることになります。信頼を築くには長い時間が必要です。私が大切にすべきは、スキルを磨く場所よりも、同じ地域で年輪を重ねる「時間」と日々の積み重ねだと気づいたのです。

弁護士一年目から、宮崎の土壌に真っ直ぐ根を張る。そして圧倒的な実力をつける。それこそが「あなただから頼みたい」と言われる弁護士への一番の近道だと、目の前の霧が一気に晴れ渡りました。

この確信から、私は「地域に深く根を張る」という理念を最も体現できる場所を探し、アルバイト経験があったみなみ総合法律事務所への入所を決意することになりました。

入所を決めた理由は、主に以下の点にあります。

1.「根を張る」ための安定した基盤

みなみ総合法律事務所は、弁護士複数人体制で宮崎・都城・延岡にオフィスを構える、県内有数の規模を誇る法律事務所で、多種多様な事件が舞い込む活気がありました。この安定した基盤は、若手弁護士が腰を据えて経験を積み、じっくりと実力を磨くための、最高の土壌であると感じました。

2.成長を促す「風通しの良さ」と「人の温かさ」

日々の業務で壁にぶつかった際、親身に相談に乗り、的確な助言を授けてくださる先輩方がすぐそばにいます。年次に関係なく自由に意見交換ができるこの風通しの良さは、若手が成長していく上で何よりの魅力だと実感しました。

その風通しの良さや人の温かさを象徴する出来事があります。司法試験の合格発表日、「もし不合格でも平常心でいよう、いつも通り働いて勉強を続けよう」と自分に言い聞かせ、私はあえて事務員として普通に働いていました。勤務時間中の午後4時頃、事務所を少し抜け出し、近くの川辺の高架下で法務省のホームページを開きました。しかしアクセスが集中し、なかなか結果が表示されません。20分以上粘り強く再読み込みを繰り返し、ついに合格を確認。思わず叫び、下校中の小学生たちの怪訝な視線も余目に、全速力で事務所へ駆け戻りました。報告すると全員が我がことのように大歓喜し、他支店からもお祝いの電話が鳴り響きました。事務所全体が一つになって祝福してくれたあの感動は、生涯忘れることはありません。

受験生時代から温かく見守ってくれたこの事務所の雰囲気を肌で感じ、「ここなら若手でものびのびと働き、弁護士として健全に成長できる」と深く確信できたことが、入所への背中を強く押してくれました。

3.未来への投資を惜しまない「将来性」

比較的若く、情熱と行動力のある先生方が多く、事務所全体に「これから更に発展していくんだ」というエネルギーが満ちています。変化を恐れず、常に前進しようとする姿勢に、事務所の明るい将来性を感じました。

そして、少し現実的な話をすると、アソシエイトの待遇が県内で最高水準であったことも、大きな決め手の一つです。経済的な安心感は、目の前の仕事に集中し、自己研鑽に励むための大切な基盤だと考えています。

最後に ― 未来の後輩となる皆さんへ

その後、私は創業代表から理念を受け継ぎ、代表弁護士を引き受けることになりました。組織力を活かした司法アクセスの向上と技術革新で地域社会に貢献するとともに、自分を育ててくれたこの温かい環境を次世代へ受け継ぐためです。

もちろん、私と同じ強いコミットメントを求めるわけではありません。たまたま私は地元出身でしたが、他都道府県出身の方も大歓迎です。むしろ多様な経験があることで新しい視点での活気が芽生えるものと考えます。

経験を重ねて将来独立する道も、ワークライフバランスを重視する道も、「宮崎のリーディングファームを目指す」という私たちの理念に共感して共に事務所を大きくする道も、どれも素晴らしい選択です。みなみ総合法律事務所という土壌を、ご自身の成長のために大いに活用してください。

かつての私と同じように悩む皆さん。「地域に根ざし、信頼を築く弁護士になりたい」という想いが少しでもあるなら、ぜひ一度事務所見学にお越しください。お会いできるのを楽しみにしています。

監修者

弁護士法人みなみ総合法律事務所柏田笙磨
顧問先企業の企業紛争や個人の民事紛争、家事紛争全般に注力している。
相談実績は年間100件以上。法的手続を得意とし、専門訴訟を含め、解決実績多数。

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